高品質な山ワイン イタリア最北端 アルト・アディジェワインを楽しむ

イタリア最北端のワイン産地「アルト・アディジェ」はアルプスの麓にぶどう畑が広がり、個性あふれる高品質なワインの宝庫。そんなアルト・アディジェワインの魅力をアルト・アディジェワイン委員会代表 アンドレアス・クロフラーさんから直接伺うひと時。

イタリア最北端、オーストリアとの国境沿いにあるアルト・アディジェは、イタリアとオーストリア両国の文化が根付き、アルプス山脈と地中海の影響をバランスよく受けるワインの産地。アルプスと地中海の恩恵である冷涼な空気と太陽、200mから1000mと大きく異なる標高、ラテンとゲルマン、そんな異なる特徴を併せ持つ唯一無二のテロワールから生み出されるワインは世界的評価が高いワインです。

ミネラル豊かでアロマティックなぶどうから生まれる洗練されたワインは、様々な料理にマッチし、引き立て合います。


銀座ロオジエでソムリエの中村僚我さん、リストランテ メラキ本多康志さんからも貴重なお話しを伺うことができました。

生産量の約65%が白ワイン、約35%が赤ワインで、主要なぶどう品種だけでも20種あり、緩やかな丘陵から険しい斜面まで、穏やかな地中性気候から、乾燥した山の渓谷まで、アルト・アディジェの小さなワイン生産地域には、それぞれ個性がある7つの栽培地があり、多様性にあふれています。

アルト・アディジェの6品種のワインを試飲させて頂きました。


標高が高く寒暖差があり、ワインに理想的な気候でテクスチャは厚みがありながら酸がしっかりしていて爽やかさがある。アルト・アディジェのテロワールにより、20種類近くのぶどう品種が栽培され生産者は、このような小さな生産地域では他に類を見ない、多くのワインを産み出しています。例えば、500m以上の高地にはシルヴァーナやケルナーなど冷涼な場所が適したドイツ系のブドウ品種が栽培されています。

・ズュートチロラー ソーヴィニョン ポーフィリー&カルク イニャツ ニードリスト

【品種】ソーヴィニョン ブラン

二つの畑からのブレンドで、アッピアーノの畑はグーズベリーなどの香り。コルナイアノの畑はレモンバームとトロピカルフルーツの印象を与える。表現力豊かなアロマ。

フードペアリングは海老と白身のコリアンダーの海老パン

青リンゴの様なフルーティ感でシブレットハーブなど地中海のハーブ料理に合うそうで魚介料理にはソーヴィニョンがよく合うと感じました。

・サンクト・ヴァレンティン ピノ・ビアンコ2022

【品種】ピノ・ビアンコ

ノンアロマティック品種でタンニンがしっかりしています。

ザワークラウトなどが合うそうです。

ヨード香で海のミネラルが感じられ意外にも磯辺揚げなどにも合うのだそうです。

フードペアリングは、ホタテの天ぷら抹茶ソルト、山芋の磯辺揚げ

ヨード香は、海藻の香りや磯の香り、潮の香りに似ていてホタテなどに合っていました。


ヌスバウマー・ゲヴュルツトラミネール

【品種】ゲヴュルツトラミネール

ヌスバウマーは畑の名で標高350-550mの日当たりの良い南東の急斜面に位置し、石灰粘土質の土壌を持つ。冷涼地でゆったりと時間をかけて熟した香りからは、 白いバラやライラック、マスカット、ライチ、ハチミツ、オレンジピールなどが次々に現れます。

フードペアリングは、サーモンレタス万能ねぎ黄ニラの生春巻きチリソース&魚醤ライムピーナッツソース


綿密でふくよかな果実を酸とミネラル感が引きしめ、長い余韻に至るまでフローラルな香りが続きます。テロワールと品種の個性が究極のバランスで表現されていました。


・シャルドネ リゼルヴァ クリヴエッリ2021

【品種】シャルドネ

黄金色がかった明るい色でアプリコット、バナナや完熟したフルーツ、バニラや蜂蜜の複雑でエレガントな香り。口に含むと凝縮した果実味と芳醇な味わいと豊かな酸を感じさせる味わいが特徴です。

フードペアリングは、ほうれん草とベーコンのリゾット

ピノ ネーロ 2022 フランツ ハース

【品種】ピノ ネロ

しっかりと品種の個性と地域特性を反映したピノネーロを栽培することの困難さは有名で、数少ない成功例と言えるそうです。ラズベリーやイチゴなどベリー系の香りにマラスキーノ・チェリーなど様々な果実香に加え、アーモンドの核や醗酵バターをイメージさせる香りも感じ取れました。

フードペアリングは、カツオのたたき芽ネギと茗荷ポン酢ジュレ



しっかりとした伸びのある酸味と滑らかなタンニンがカツオと合っていました。

アルト・アディジェのエステートワインの先駆者フランツ ハースのピノネーロに対する強い想いを感じるワインでした。

ラグレイン リゼルヴァ タベール2021

【品種】ラグレイン

タベールはラグレイン最高のワインの1つで、10年連続トレビッキエーリを獲得している代表する赤ワインでもあります。 かなり紫味を帯びた濃いガーネット。

フードペアリングは、グーラーシュ レホールクリーム

レーズン、ラズベリーの香りで滑らかなタンニンで舌触りがよく、品の良い果実味と控えめな酸味がグーラーシュにマッチしていました。

アルト・アディジェのワインは、生産量の約98%がDOC(統制原産地呼称)認定されたワインであるということに感動しました。品種や栽培方法、収穫量や熟成方法やアルコール度数等の規定を守りつくられたものがリリースされるのです。生産者の方の自然と調和したライフスタイルにも感銘を受けました。

「アルト・アディジェ」は小さな産地で大量生産されていないことから品質の高い魅力的なワインが造られています。高品質なのに価格が抑えられていることも注目したい。ここまでしっかりとした味わいの白ワインが揃うのも嬉しい。レストランやワインセラーなどでのワイン選びは楽しくも悩ましいが、これからは「Alto Adige」の文字を見たら迷わず手にしたい。アルト・アディジェのワインを知っているだけでちょっと自慢できるかもしれません。

アルト・アディジェワイン委員会

https://www.altoadigewines.com/

Text /佐保田 香織

総合商社→流通コンサルタントを経て幼い頃から親しんだ和の世界へ。きものサロンを主宰し、着付けのマンツーマンレッスンや着物イベントを企画。着物で食べ歩きをするなかでフードアナリスト資格を取得し、フードアナリストとして商品開発やメニュー開発、メディアでの情報発信など食の分野でも活動している。 

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