丸の内の大地主にして 三菱財閥創業家の至宝集結!国宝も12点

丸の内の高層ビルの間に建つ赤煉瓦の「三菱一号館美術館」。2010年に三菱が1894年に建設した「三菱一号館」(ジョサイア・コンドル設計)を復元して開業した美術館です。せわしなく人が行き交う丸の内で、そこだけ時が遡ったような美術館で開催されているのが「三菱の至宝展」(2021年9月12日まで)。三菱創業150周年記念の展覧会は、国宝12点を含む秘蔵コレクションです。

本展では、三菱創業の初代岩崎彌太郎から小彌太に至る岩崎家4代社長が芸術文化の研究・発展を通じて行った社会貢献の歴史をたどりつつ、静嘉堂、東洋文庫所蔵の国宝12点、重要文化財31点を含む美術工芸品、古典籍などに三菱経済研究所の所蔵作品をあわせた貴重な作品群100点余りを一挙公開しています。

文化的パトロンとはこのことと感動させられる素晴らしいコレクションの数々。三菱創業者、初代社長の岩崎彌太郎は、明治時代に日本の海運業のトップに躍り出ると同時に鉱山、炭鉱、造船、金融、倉庫など多方面の事業の基礎を築いたのですが、早くから詩才・文才にも優れてもいたのだそう。

岩崎彌太郎の希少な書。《一行書「猛虎一声山月高」》。達筆。

国宝の中でも通期展示と前期展示・後期展示のものがありますが、通期の中で最大に注目は、国宝《曜変天目 (稲葉天目)》でしょう。完全な形で日本に現存するのは3点のみ。こちらは徳川将軍家より3代将軍家光の乳母・春日局の手を経て、淀藩主稲葉家に伝来したものだそうです。

国宝《曜変天目 (稲葉天目)》


大小の斑文の周囲を青色や虹色に輝く光彩が囲み、まるで宇宙を覗き込んだような気分になる美しい茶碗です。

華麗な光源氏の一行と船中の明石君とのすれ違う恋を描いた俵屋宗達の国宝《源氏物語関屋澪標図屏風》のうち「澪標図」を熱心に見る人も。

重要文化財《太刀 銘 高綱附 朱塗鞘打刀拵》

こちらは、鎌倉時代の策で重要文化財ですが太刀の妖しいほどの輝きと朱塗りの鞘に見入ってしまいました。

美しい字体古文書の写本の、マルコポーロの『東方見聞録』の印刷本や長崎のオランダ商館に滞在したシーボルトの手になる図鑑なども!

『日本動物誌』フィリップ・フランツ・フォン・シーボルト

昔、学校の授業に出てきた人物の作品がそのまま目の前で展開し、歴史をなぞるような気分もします。

会期は、前期が8月9日(月・振休)まで、後期が9月12日(日)まで。開館時間は10:00〜18:00。休館日は月曜日と展示替えの8月10日(火)。

入館料・当日券は、一般1900円、高校・大学生1000円、小・中学生無料。

三菱創業150周年記念 三菱の至宝展 https://mimt.jp/kokuhou12/

東京駅から歩いてすぐの美しい建物「三菱一号館美術館」で充実の一時を過ごせます。

Text / W LIFE 編集部

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