フランスを拠点に、世界の歌劇場で活躍する、ソプラノ歌手の大村博美が、帰国して今月12月に出演する舞台が「新たな時への響き やまとの季 YAMATONO-TOKI やまと舞✕邦楽✕オペラ✕ピアノ✕チェロの共演」です。
top画像:ソプラノ 大村博美 ©️ Puccini Festival 2018
この作品は、世界的に活躍するオペラ歌手・大村博美と歌舞伎舞踊・古典舞踊をもとに舞主・やまとふみこ独自の舞踊の世界観で創り上げられた「やまと舞」との共演をはじめ、雅楽演奏家の真鍋尚之、能楽師の松井俊介、ピアニストの本田聖嗣、チェリストの笹沼樹、そして和太鼓演奏の西野恵、朗読家の木村まさこらが舞台を彩る一大絵巻です。時の移ろいをクラシック音楽と「やまと舞」、邦楽、で表現する舞台が、12月29日(水)に、会場の「サントリーホール ブルーローズ」で開催されます。
作品のなかで「やまと舞」とクラシック音楽とのコラボレーションの試みをし、オペラ『蝶々夫人』の名アリア「ある晴れた日に」の曲を大村さんが歌い、舞主・やまとふみこさんが舞い、本田さんがピアノで共演をします。
この意欲的な作品に出演する、世界的ソプラノの大村博美さんと、ピアニストの本田聖嗣さんにお話を伺いました。
世界中で伝説的名演を残したバタフライ
2004年に初めてフランスでマダム・バタフライを歌った大村さんに、オペラ『蝶々夫人』について語って頂きました。
大村:「日本では『蝶々夫人』の作品というと、やまとなでしこのような『静』の演出のイメージを求められがちですが、私が初めて蝶々夫人を演じたのがフランスの歌劇場で、『動』のイメージの活き活きとしたものでした。歌手自身の内面から出るものを演出家に求められ、自由な舞台の雰囲気でした。いま思えば、最初に演じたのがその演出で良かったのかもしれません」
海外で「陽」の演出を経験した後に、2005年に新国立劇場で栗山民也演出の『蝶々夫人』初演に出演しました。舞台は好評を博し、現在も再演が重ねられています。
大村:「日本の『蝶々夫人』は型を大事にするものが多いのですが、この時は着物でも活発に舞台を動き回る人間味のある蝶々さんの新演出で、お客様もたくさん入り、多くの方々に観て頂きました。海外の舞台で自由でエネルギッシュな蝶々さんを演じた経験が栗山さんの求める演出とマッチし、作品の成功に繋がったように思います」
大村さんには世界の歌劇場から同作品で次々と声がかかり、ドイツ、スイス、スペイン、フィンランド、ポーランド、イスラエル、カナダ、オーストラリア、ブラジルなど世界15カ国のさまざまなオペラプロダクションでタイトルロールを歌い演じ、舞台は絶賛されました。
大村:「オペラ・オーストラリア(オーストラリア国立歌劇団)には二つの演出で出演し、2012年に引き続き出演した2014年のプロダクションは、野外の公演でした。シドニーの港に巨大なクレーンを組み立てた、海の上の大がかりな特設舞台で、アリア『ある晴れた日に』を歌った後に、数秒で走って移動してすぐに台詞を言うような、広い舞台を動き回るアクティブな演出でした。劇中で長崎の港を一望する設定の展望台は、物凄く遠くはしごで昇る場所にあり、本当の蝶々さんもこんな状況の気持ちで夫の帰りを待っていたのだろうか、とリアルに想像させてくれました」
日本人の心
大村さんとピアニストの本田さんとの最初の出会いは、同じ留学先のフランスだったそう。
本田:「大村さんとは、同じ東京藝術大学の出身です。私は10年以上フランスに留学し、大村さんとは日本ではなく海外での出会いが最初でした。
海外に留学すると、自分は日本人である、と意識させられる場面が多く、洋楽の演奏をする意味を自問自答し続けます。大村さんの舞台を拝見していると、日本人の精神が中心にありながら、歌い演じていらっしゃるというのが良く分かります。
『ある晴れた日に』は、オペラアリアのなかでも大変な難曲のひとつです。大村さんのマダム・バタフライは素晴らしいので、共演する僕自身も、『やまと舞』のやまとふみこさんがその歌と共にどのような日本の舞を踊られるかを、大変楽しみにしています」
「祖母は和裁専門学校の校長でした(大村)」「茶道を習い、剣道は段を保持しています(本田)」と「和」に親しみ、日本人であることを日頃より意識しているお二人。
「やまと舞」とは、凛とした美しい気高さを持ち、同時に和やかさを持つ、やまと心を表現する舞。『蝶々夫人』のアリアとどのように呼応して、心が動くような3人の舞台が生まれるのか、実際の生の舞台が楽しみです。
新たな時への響き やまとの季 YAMATONO-TOKI
やまと舞✕邦楽✕オペラ✕ピアノ✕チェロの共演
チケット料金:S席:10,000円(指定)、A席:8,000円(自由)
チケット発売中(ぴあ) http://ticket.pia.jp/pia/event.ds?eventCd=2130504
日時:2021年12月29日 18:00開演
会場:サントリーホール ブルーローズ(小ホール)
主催:一般財団法人 母なる愛 やまとのこころ
Text/鈴木陽子
エンタテインメント・ザファースト代表。STARRingMAGAZINE編集長。CS放送舞台専門局、YSL BEAUTYのAD/PR/SPマーケティング、文化系雑誌マネージングエディターを経験。25ヶ国70都市以上を取材、舞台・音楽のジャンル、宝塚歌劇トップスター、海外アーティスト含む100人以上にインタビュー。ペンネームのマドモアゼル安原で、各メディアに編集執筆。
エンタテインメントするWebメディア
STARRingMAGAZINE www.starringmagazine.com
日本人 日本人の感性が西洋の音楽と融和して、芸術になる作品なので、想像される音楽家さんがどのような世界観を持っているのかがとても伝わるものだと思います。
逆に言えば 音楽家さんが世界を変えるそんなオペラでもあると思います。大村さんの世界体感出来る人は幸せですね。
初めまして~⤴️
素晴らしい記事有り難うございます☀️🙋♀️❗
ある晴れた日に~ この素晴らしい何曲にどう挑むか~⁉️
大村様の歌に只の悲劇的な女性 蝶々夫人ではなく 日本女性の一途な何ものにも動かされぬ 凛とした 真の強さ~本当の大和撫子の想い心意気をどう舞うか表現出来るものか悩みに悩んでおります~⤴️