4世紀を経て現れ出たキューピッドに見入る フェルメールと17世紀オランダ絵画展


17世紀オランダを代表する画家、ヨハネス・フェルメールの《窓辺で手紙を読む女》などドレスデン国立古典絵画館所蔵の17世紀オランダ絵画の黄金期を彩る珠玉の名品約70点を展示する「ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展」が上野の東京都美術館で開催されています。
トップ画像 左:ヨハネス・フェルメール《窓辺で手紙を読む女》(修復後) 1657-59年頃 ドレスデン国立古典絵画館
右:ザビーネ・ベントフェルト《複製画:窓辺で手紙を読む女(フェルメールの原画に基づく)》2001年 個人蔵

ヨハネス・フェルメールは、写実的かつ綿密な空間構成と美しい光と影の表現で世界中から愛される作家です。

寡作で知られるフェルメールの初期の傑作《窓辺で手紙を読む女》の背景にキューピッドの画中画が描かれていることは、1979年の調査で判明していましたが、長らくフェルメール本人が塗りつぶしたものだと考えられてきました。しかし、2017年から開始された専門家チームによる修復プロジェクトにより、この上塗りはフェルメールの死後、何者かによって行われたものであることが明らかとなり、フェルメールの描いた姿に修復されることとなったのです。

本作は修復完了後、所蔵館であるドレスデン国立古典絵画館で公開された後、今回は所蔵館外での世界で初めての公開になります。

修復前後の両方を複製画によって鑑賞できるのがとても興味深い。キューピッドは真実の愛こそすべてに打ち勝つという意味合いを持っているようですが、かつての静寂を思わせる空間で手紙を読む女性の姿もそれはそれで魅力的ではあります。手前に描かれたカーテンの筆致が見事で、目の前で窓辺に立つ女性を見ているようです。

本展では《窓辺で手紙を読む女》修復プロジェクトの過程がつぶさに紹介されているのも見どころ。
上塗りされた絵具層を慎重に取り除き、徐々に姿を現していくキューピッド。その修復の過程が映像やパネル等で紹介されています。

レンブラント・ファン・レイン 《若きサスキアの肖像》1633年 ドレスデン国立古典絵画館

また、ドレスデン国立古典絵画館がこの傑作を収蔵するきっかけになったザクセン選帝侯の貴重なコレクションを中心とし、フェルメールと同時代に活躍した巨匠レンブラント・ファン・レイン、ハブリエル・メツー、ヤーコプ・ファン・ライスダールなど、17世紀オランダ絵画の黄金期を彩る珠玉の名品約70点も見応え満点。

ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展 開催概要

会期2022年02月10日(木)〜2022年04月03日(日)※2月14日(月) は、臨時開室
会場東京都美術館
住所東京都台東区上野公園8-36 
展示室東京都美術館 企画展示室
時間9:30~17:30(入室は閉室の30分前まで)
金曜の夜間開室は、展覧会公式サイトでご確認ください。
休館日月曜日、3月22日(火) ※ただし、※2月14日(月) 、3月21日(月・祝)は開室
観覧料一般 2,100円/大学生・専門学校生 1,300円/65歳以上 1,500円※本展は日時指定予約制となっております。
※2022年2月4日(金) 正午12:00よりオンライン・プレイガイドで発売開始。
※オンライン・プレイガイドでの予約が難しい方を対象に当日の入場枠を設けておりますが、ご来場時に予定枚数が終了している場合があります。
※高校生以下は無料(日時指定予約必要)。
※身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方とその付添いの方(1名まで)は無料(日時指定予約不要)。
※未就学児は日時指定予約不要です。
※高校生、大学生、専門学校生、65歳以上の方、各種お手帳をお持ちの方は、いずれも証明できるものをご提示ください。
TEL050-5541-8600(ハローダイヤル)
URL展覧会公式サイトhttps://www.dresden-vermeer.jp/

Text / W LIFE

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