長靴型に南北に広がるイタリア。多様な気候と数多くのブドウ品種によって、20州それぞれにバラエティに富んだワインが造られています。今回、イタリア北部のアルトアディジェにフォーカスした試飲会がパレスホテル東京 オールデイダイニング「グランド キッチン」で開催され、イタリアワインに精通するソムリエの瀧田昌孝氏のナビゲートで、フードペアリングとともにその魅力をうかがって来ました。
アルトアディジェは、オーストリアに面したイタリア最北端のワイン生産地で、山がちのアルプスと地中海の温暖な気候という両方のいいとこどりができる土地柄。ワイン造りには好条件な温暖差があり、そこに地中海の温かさが果実味を醸します。世田谷区ほどの広さの5000haのエリアに、20種類の異なる品種が栽培され、なんと5000もの生産者が集まっているというワインの名産地なのです。
この日は、5品のランチに合わせて7種類のワインの試飲をしたのですが、なんとブラインドという趣向!テイスティングが当てられたりしませんよね?! と思わず緊張。
自分たちで「ブドウ品種や銘柄を予想してみてください」というお遊びでほっとしましたが、一杯目の白からリンゴのような果実味でクリアな味かと思えば、後でミネラルが厚みが感じられてくるというなかなか奥行きのあるワイン!そして合わせてお料理が「国産ずわい蟹と根セロリのレムラード」ですが、ズワイ蟹の旨味と根セロリのシャキシャキ感、そして手前は青リンゴのソースで、これがなんともワインと合ってます。
そして種明かし。1杯目は「Alto Adiege SYLVANER DOC ARISTOS, 2018 Cantina VALLE ISARCO カンティーナ ヴァッレ イサルコ、シルヴァーナ・アリストス」50%はステンレスタンク発酵、50%はアカシアの大樽発酵をブレンドしているので、あの奥行きが出るのですね。
次は、独特の香りにリースリングかな?という予想。「鱈のブランダードと帆立貝のタルタル」に合せていただきます。手前は秋らしく柿のソース。爽やかさの中にあるスパイシーな感じがお料理に使われているホワイトペッパーとマッチしてます。
これは当たり!「Alto Adige Riesling DOC Val Venosta, 2019 Falkenstein ファルケンシュタイン、リースリング」
次も白、お料理は「シュリンプと烏賊のリゾット アッロ ザッフェラーノ」サフランを使った北イタリアのリゾット。お米もイタリア北部のものだそう。ワインは、花のような香り高い「Alto Adige Gewurztramier DOC 2021 Tramin トラミン、ゲヴュルツトラミネール」。
次からの2皿は、ソースによって白と赤を合わせ分けるという趣向。まずは「サーモンのミキュイ (左は)オゼイユ / (右は)ポン酢 のソース」。オゼイユは酸味のあるハーブで、これはトロワグロの有名料理。ソースの色からみてもこちらが白かな…?
やはり、オゼイユソースには「Alto Adige DOC Sirmian Pinot Bianco 2019 NALSMAGREID ナルス マルクライド、ビノ・ビアンコ シルミアン」。ポン酢ソースは「Alto Adige Pinot Nero DOC Riserva Matan,2017 Pfitscher フィッシチェル、ピノ・ネロ リゼルヴァ マタン」熟成感がありながらお魚にも合って飲みやすい。
次も同様にソースによって合わせ分け。お料理は「香川産オリーブ豚ロース肉のブランチャ(左は)オレンジソース(右は)粒胡椒&バルサミコソース」。これは粒胡椒&バルサミコのソースは赤だろうと、するともう一方は白だなと。これもそれは当たって:
左のオレンジソースには果実味を感じる「Alto Adige Sauvignon Blanc DOC “Oberberg”, 2019 Kornel コーネル、ソヴィニヨン・ブラン”オベアベルグ”」。右のバルサミコソースには重々しさのある「Alto Adige Lagrein Riserva DOC “Abtei Muri” 2012 MURU-GRIES ムル・グリ、ラグレイン・レゼルヴァ”アブタイ・ムリ”」
私は、最初のシルヴァーナが、リンゴのようないい香りと冷涼な気候を感じる清々しい味、その後にミネラル感が来て土壌の豊かさ感じるのが印象的。それぞれに奥行きがあるワインでした。
素晴らしいお料理を提供してくれたパレスホテル東京のオールデイダイニング「グランド キッチン」ですが、グラスワインで出しているアルトアディジェの果実味あふれる白ワイン「ケットマイヤー ピノ・グリージョ」はグラス1200円で、とても人気だとか。ぜひ、一度、お試しください。
アルトアディジェワイン委員会 https://www.altoadigewines.com/ja/
パレスホテル東京 オールデイダイニング「グランドキッチン」https://www.palacehoteltokyo.com/restaurant/grand-kitchen/
Text / W LIFE編集長 小野アムスデン道子
世界有数のトラベルガイドブック「ロンリープラネット日本語版」の編集を経て、フリーランスへ。東京とポートランドを行き来しつつ、世界あちこちにも飛ぶ、旅の楽しみ方を中心に食・文化・アートなどについて執筆、編集、プロデュース多数。インバウンド・コンサルタント。日本旅行作家協会会員。