春めく軽井沢の旅  ”藤田嗣治の猫と少女”に出会い、春の宴を楽しむ


春の陽気が軽井沢にも!町の木であるコブシの蕾も膨らんで来ています。2022年10月に開館した藤田嗣治(レオナール・フジタ)だけを収蔵・常設展示する軽井沢安東美術館で、2023年3月3日から始まった企画展「藤田嗣治 猫と少女の部屋」を見に行ってきました。

藤田嗣治の人生をたどるように
作品を楽しめる

軽井沢安東美術館は、軽井沢駅から歩いて8分ほど。安東泰志・恵夫妻が約20年にわたって蒐集してきた、エコール・ド・パリの代表的な画家 藤田嗣治の作品約200点をコレクションしています。そのコレクションのきっかけとなったのは、散歩の途中に偶然にギャラリーで出会った猫が描かれた版画だったそう。

中央:《猫の教室》(1949年 油彩、キャンバス)

企画展「猫と少女の部屋」では、このコレクション最初の作品となった《ヴァンドーム広場 『魅せられたる河』より》(1951)のほか、表情豊かに、ユーモアたっぷりに、躍動感あふれる猫たちが描かれた《猫の教室》(1949年 油彩、キャンバス)や愛らしい少女たちを、オーナーご夫妻の自宅に飾られていた時のような雰囲気の展示室5で観ることができます。

中庭を囲んでいる展示室は部屋ごとに壁の色が異なり、藤田嗣治の人生をたどるように作品を楽しめます。エコール・ド・パリで脚光を浴びた藤田の新しい絵画技法「乳白色の下地」の作品が並ぶ緑の展示室、ニューヨークや中南米などに滞在した時代の黄色の展示室、日本からニューヨークを経てフランスに戻った時代の青の展示室、そして企画展の赤の展示室。ここはシャンデリアが天井を飾り、ソファなどが置かれて寛いで作品と向き合えます。

展示室を出ると浅間山と離山が一望できる展望室も。ステンドグラスが飾られたり、どこか邸宅のような趣もありながら、猫のシールやカードなどがかわいいショップやHARIO直営のカフェもあってスペシャリティコーヒーも提供しています。
軽井沢でぜひ立ち寄りたい美術館です。

企画展「藤田嗣治 猫と少女の部屋」

2023年3月3日(金)〜2023年9月12日(火)

会場 軽井沢安東美術館

住所 長野県北佐久郡軽井沢町軽井沢東43番地10  TEL 0267-42-1230

時間 10:00〜17:00

休館日 水曜日(祝日の場合は開館。翌平日が休館となります)

観覧料 一般 2,300 円/高校生以下 1,100 円/未就学児無料

軽井沢安東美術館|公式サイト: https://www.musee-ando.com/

谷の集落「星のや軽井沢」の
花行燈が灯る幻想的な空間で和む

エコール・ド・パリの時代を感じ、優雅な気分でアートを鑑賞して、そのまま非日常な時間を過ごすのに、春の「星のや軽井沢」へ。2023年3月1日〜4月28日まで約300個の花行燈が棚田に灯る「軽井沢 花の宴」を開催しています。

夕暮れになると野花を模した花行燈がほんのりとした光を放ち、まるで水面に花が咲いているよう。夕刻には、華やかな味わいの地酒にお干菓子やあられのふるまいも。期間中の金曜日と土曜日には18:30と19:30から雅楽が演奏されます。水のせせらぎや野鳥のさえずりなど自然の音色と調和するその音色は、春の宵に溶け込むようでした。

夕食の先附、この日はふぐにつくしやわらび、うるいが飾られ、黄身酢に菜の花のすり流しが美しい。
朝食の山菜鍋はお出しも野菜がベース。箱にもぜんまい煮や菜の花の辛子和えなど。



星のや軽井沢は、川が流れる谷の集落で過ごしているようなラグジュアリーな宿。
源泉かけ流しのメディテイションバスで寛ぎの時間を過ごせます。そのまま夕食もゆっくりと過ごすなら、信州の滋味を味わえる星のや軽井沢のメインダイニング「日本料理 嘉助」へ。この季節には、夕食にも朝食にもぜんまい、わらび、うるい、せり、ふきのとうなど春の香りいっぱいの山菜が使われています。山菜らしい新鮮な歯触りや苦味は、まさに春を味わっている感じ。

1泊ですが、春の訪れを満喫できる軽井沢の旅でした。

星のや軽井沢 https://hoshinoya.com/
電話:050-3134-8091 (星のや総合受付)

Text / 小野アムスデン道子



世界有数のトラベルガイドブック「ロンリープラネット日本語版」の編集を経て、フリーランスへ。東京とポートランドを行き来しつつ、世界あちこちにも飛ぶ、旅の楽しみ方を中心に食・文化・アートなどについて執筆、編集、プロデュース多数。インバウンド・コンサルタント。日本旅行作家協会会員。


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