英王室のヘンリー王子と米女優メーガン・マークルさんのロイヤルウェディングが2018年5月19日(現地時間)に行われました。
遂に…英国のあの王子が…世界が注目のウェディングであることは間違いなし。さて、英国王室を担うべく、幼少より帝王学を叩き込まれたであろうヘンリー王子とウィリアム王子が通われたのは、名門イートン校。1440年創立の男子全寮制のパブリックスクールです。
制服は、今でも燕尾服!ファルスカラーと呼ばれるホワイトカラーのシャツにタイ、ピンストライプのズボン(英国ではトラウザーズですね)と、世間と一線を画している感じがします。全寮制なので、この超名門校を目指して、海外から入学してくる生徒もいます。
そんなイートン校と同じく名門パブリックスクールのウィンチェスターに兄弟を見事、合格させたというシンガポール在住の日本人の方がいます。現在、教育コンサルタントのお仕事もされているモウリー康子さんです。彼女に「何を目指してイートン校だったのか?英国パブリックスクールに入ると何が違う」のかをうかがってみました。
■イートンに入るまでの経緯は?入学のためにどんな努力をされましたか?
子供たちはロンドンで生まれ、東京、シンガポールと移り住んできました。東京では、インターナショナルスクールにも通いましたが、イギリスの教育が向いていると思い、ボーディングスクール(全寮制学校)の受験を決めました。
男の子の母なら一度は夢見るイートン。記念受験のつもりでしたが、次男はそんな宝くじを引き当ててしまいました。長男も第一希望のウィンチェスターに。
最近海外生が増えたとはいえ、イギリスのプレップスクールからの入学者が圧倒的な中、我が子ながらよく入ったな、と思います。入学試験の勉強だけではなく、二人ともテニスに打ち込んでいたのでその結果がプラスになったかもしれません。
入試には単なるテスト点数だけではなく、インタビューに重きが置かれるのです。学校の名に恥じない社会に貢献できる紳士を育てるのが目的だからでしょう。
ウィンチェスターとイートンは実はライバル同士です(イートンとハーロー校がよくライバルだというのは実際は事実ではない)。兄弟だから同じ学校にいると便利なのですが、長男と次男は性格が違うので、兄は硬派のウィンチェスター、弟は華やかなイートンになりました。
ウィンチェスターは親よりも子供重視。イートンは入学試験の前の学校見学から親子の服装、言動がチェックされてるという噂を聞きますね。
■イートンに入学が決まって感じた世界観や独特なコネクションの形成などありますか?
グローバル化が進んで、世界は開かれたけれど、お金では買えない価値、伝統を求める需要は変わらないんだと再確認したことでしょうか。
ウィンチェスターよりも、イートンの親の方がネットワーキングは熱心そうです。ただウィンチェスターにもそうそうたる家族が沢山いますが。イートンは世界各国でイートン会があるようですね。
ウィンチェスターはアカデミックで売っている学校なので、何しろスポーツが弱いんです。(唯一ウエストミンスターには勝ちます)従って他校とのスポーツ観戦に、親はあまり見に来てないようですが、イートンは学校に参加しようと思ったら、人数が倍のせいもあってスポーツ含め、イベントが盛りだくさん。友達のハウスではよく親の夕食会もあるようです。
■日本の学校とは圧倒的に違う点とメリットは?
勉強以外にいろんな事にトライできるチャンスが与えられます。日本ではクラブ活動などずっと一つのことに打ち込むという感じですが、イギリスのボーディングスクールはオールラウンダーを育てるのが目的なので、シーズンごとに違うスポーツ、音楽、演劇、さまざまな分野にチャレンジ出来るのが1番の特徴でしょうか。
英国では、そんなパブリックスクールの教育を受けた人物だということは、とても評価されます。大学名よりもどのパブリックスクールをでたかが重要らしいです。
学校で学ぶことで素晴らしいと思った点も「子供が自分の可能性を広げられること」と「一生の友人に巡り会えること」だと思いました。
お話をうかがって、もちろんお子様の語学能力や経済的な面など恵まれていないと、なかなか行けるものではない英国名門パブリックスクールですが、そのメリットというのは何といっても全人教育と一生にわたる人の繋がり。実際の毎日はどんな授業でどんな寮での過ごし方をするのかなどますます興味をそそられました。
モウリー康子さん
青山学院大学卒業後、日系、外資系金融機関を経てフランス人のご主人の転勤に伴いロンドン、東京、シンガポールと移り住む。イギリスパブリックスクール受験アドバイスなども行なっている。
Twitter account :yasukomau