カリフォルニア州ソノマ郡で、夫のケンさんと共にワインを作り続ける「フリーマン・ヴィンヤード&ワイナリー」のアキコ・フリーマンさんが来日。《2022 フリーマン 光風 リースリング ソノマ・コースト》新作発表会が開催されました。
海外で醸造家として活躍される日本人は昨今増えましたが、カリフォルニア州でワイナリーオーナーであり醸造家でもある日本人女性は、アキコさんただお一人。しかも今年で23回目の収穫が終了したとのこと。長いキャリアをお持ちです。
2015年のホワイトハウスでの安倍元首相とオバマ元大統領との公式晩餐会ではフリーマン・ワイナリーのシャルドネが、そして2024年4月にはカマラ・ハリス前副大統領が岸田前首相の訪米記念の公式昼食会ではシャルドネ、ピノ・ノワール、スパークリングの3種類のワインがセレクトされ提供されるという栄誉に浴されました。国内外ともに、高い評価を得ているワイナリーです。
フリーマン・ワイナリーでは、今回、初めてリースリングを醸造、発売しました。ソノマ郡の代表的な品種といえば、ピノ・ノワールやシャルドネ。アキコさんご自身がリースリングがお好きで、プライベートではアルザス産リースリングをエスニックフードなどと合わせてよく飲んでいらっしゃるのですが、ソノマ郡では一般的でない品種のリースリングのワイン作りに挑戦することは少し躊躇があったそう。そんなある日、ご自身の留守中、ご主人のケンさんがご近所のブドウ生産者仲間と話が盛り上がり、アキコさんが帰宅された時にはすでにリースリング作ることが決定事項になっていたというエピソードを笑いながら話ししてくださいました。アキコさんの「大好きなリースリング自分で作ってみたい」という本音を、ご主人が汲んでくださったのではと察します。
リースリングに名付けた名前は「光風(こうふう)」。「光風」とは、「晴れ上がった春の日にさわやかに吹く風」や、「雨上がりに、草木の間を吹き渡る風」という意味だそうです。カリフォルニアの爽やかな気候と緑の葉が美しいブドウ畑が思い起こされる名前ですね。
テイスティングをしてみましょう。色は黄緑から黄色の透明感がある若々しい色。香りは、お花のような甘い香り、桃のコンポート、レモングラス、イチジクの香りも彷彿とさせます。口に含むと、香りの甘い感じとは反して、キリッとした酸味。後味は、甘味もなくドライな仕上がりになっています。「光風」と名付けた通り、爽やかな味わいです。
今回のテイスティングに合うようにと、神楽坂にあるミシュラン3つ星店「虎白」から提供されたフィンガーフードの一つをご紹介したいと思います。「あん肝、梅と紫蘇の香り」です。蒸したあん肝を甘めの出汁で炊いて味を含ませ、バゲットに紫蘇の葉を敷き、その上にあん肝そして、梅肉を添えた一品。 あん肝の旨みと甘さと、そして梅の酸味や紫蘇の葉の香りが今回のリースリングとよく合います。アキコさんがリースリングをエスニックフードと合わせるのがお好きとおっしゃっていましたが、このような“和テイスト”のお食事にもリースリング「光風」は合うのですね。
すでに高い評価を受けながらも、新たな挑戦を続けるアキコ・フリーマンさん。今後のご活躍がますます楽しみです。レストランやワインショップなどで「フリーマン・ヴィンヤード&ワイナリー」のワインを見つけたら、ぜひお試しください!
フリーマン・ヴィンヤード&ワイナリー
https://www.freemanwinery.com/#en
Text /トラベルアクティビスト真里
世界中、好奇心を刺激する国々を駆け巡るトラベルアクティビスト。外資系金融機関に勤務の後、1年の3分の1は旅をする生活へ。ジョージア、バルト3国はじめ訪れた国は50カ国以上。日本中も巡り、行った先で出会った人、風景、食etc. 旅の醍醐味をレポートします。