ワイン通著名人の中でも、自身でプロデュースしたワインをコンスタントに世に送り出していることで知られるYOSHIKI氏。9月24日に赤・白・ロゼの新ヴィンテージが発売されたばかりですが、目下、注目を集めているのが、来年リリースされるアートラベルです。コラボのお相手は、現代美術家の奈良美智氏。2008年の初ヴィンテージ以来、Yのロゴをあしらったシンプルなパッケージが定着していただけに、前例のない新展開です。



Y by Yoshiki × Yoshitomo Naraコラボワインは、カリフォルニアワインの名産地からの3アイテムです。左からCabernet Sauvignon Oakville Napa Valley 2022、Pinot Noir Russian River Valley 2022、Chardonnay Russian River Valley 2023。価格は未定ですが、カベルネ・ソーヴィニヨンで10万円前後になる予定だそう。ワインとしては高級品ですが、美術界と音楽界の世界的アーティストの共同作品となれば、相応の価格なのかもしれません。

ラベルデザインは、奈良氏から提案された候補の中からYOSHIKI氏がボトルの形状なども考慮に入れて選んだそうです。赤ワインのカベルネとピノ・ノワールは、可愛らしくもありながら鋭い視線を投げかける子どもの絵。奈良作品を知る人なら誰もが知っている象徴的な絵柄です。一方、白ワインのシャルドネは「Drumming with Bones」という作品で、あおもり犬を思わせる伏し目がちな犬が、両手に骨型のスティックを持っている姿。クリスタル・ドラムを演奏するYOSHIKI氏の姿に重ね合わせて、ピックアップしたのでしょうか?キャップシールに描かれた女の子や犬のおだやかな表情も癒しを与えてくれます。


このふたり、米国TIME誌の「世界で最も影響力のある100人」2025年に選出されたという共通項があります。YOSHIKI氏は、生き方や影響力が象徴的な人と認められたIcons部門での選出で、日本人ミュージシャンとしては史上初の快挙。芸術活動のみでなく、ロサンゼルスの山火事被害者支援のために50万ドルを寄付し、7つの団体の活動を支援したことも評価されました。奈良氏は、子どもの視点を通して戦争や自然破壊に疑問を投げかける作品の世界的評価が高まっていることが認められました。推薦者のひとりであるステラ・マッカートニー氏は、「子どものように純真で率直。ユーモアと明快さをもって、力強いメッセージを提示する」と評しています。東日本大震災後に描かれた少女像が、ロサンゼルス山火事チャリティコンサート「FireAid」では、涙をためて前を見つめる作品として提供されました。

コラボが決まったのは「TIME 100」選出より前のことです。青森県に生まれた奈良氏は、少年時代に米軍三沢基地の米軍人向けラジオ放送で洋楽に親しみ、ロックのレコードジャケットのデザインに美術への関心を搔き立てられました。現在も作品制作時には常に音楽をかけていて、バンド活動をしたり、展覧会では自身が聴いてきたレコードを展示したり。作風にはパンク・ロックの反抗精神が現れています。ふたりが知人を通して知り合った時、共通の知り合いのミュージシャンの話題で盛り上がり、一気に距離が縮まったそうです。
奈良氏はYOSHIKI氏について「普段話していても、隠さず自分を出すから信頼できる。公演のタイトルはKURENAIだが彼のイメージは青。静かに一番高い温度で燃えている」と印象を明かしました。YOSHIKI氏も「世界を視野に入れ、芸術的なものを作り出す時の孤独感を共有し、刺激し合える相手」と述べ、今後もこの関係が続いていくことへの期待感を口にしました。
数量限定で販売される希少なワインを、より確実性高く入手するには、「Y by YOSHIKI Members Club」にメールアドレスを登録して優先的に案内を貰うのが、一般に提供されている機会のようです。
「Y by YOSHIKI Members Club」事前登録リンク:
https://www.yoshiki-store.com/forms/ybyyoshikimembersclub
Text /近藤さをり

ワイン&グルメPRスペシャリスト。ドイツで5年間、日本企業のワイン仕入・販売や、現地ワイナリー勤務を経て帰国。洋酒メーカー広報部、PR会社勤務を経て現在に至る。カリフォルニアワインのPRに15年以上携わる間も、執筆活動は国やジャンルを問わず。JSA認定ソムリエ、ジャパンビアソムリエ協会認定ビアソムリエ。