今年の京都は本当に暑い!そんな中、涼やかで美しい和菓子を楽しんで来ました。京都ライター 倉松知さとがお届けします。
今年の夏は本当に暑いですね!
厳しい暑さで知られる京都ですが、今年の暑さは本当に厳しく、連日38度前後が続き、ついに祇園祭にも影響が出てしまいました。
7月24日の祇園祭後祭(あとまつり)で、約300人の子供やお年寄りのほか、着物姿の女性たちが参加する「花笠巡行」では、熱中症が懸念されると今年は、なんと中止に。
そんな酷暑の中にも、涼やかでほっとする空間がありました。
それが、祇園祭の宵山(7月16日)に八坂神社で開かれた献茶会の協賛席、「菓匠会」による和菓子の展覧会でした。
菓匠会さんは、江戸時代、貴重な砂糖の使用を許された上菓子屋仲間をルーツとする老舗の集まりで、年に2回、テーマに沿った創作和菓子の展示を行っています。
今夏のテーマは「伝統」。
ではどんどんご紹介して参りましょう!
トップバッターは鶴屋吉信さん。
この市松模様には途切れること無く続く繁栄というおめでたい意味が込められています。
続いては祇園の銘店・鍵善良房さん。
ガラスの器も涼やかです!
御題は「宵宮」。自らも長刀鉾のお稚児さんを経験されたお家柄でもあり、八坂さんの御神輿を担がれる鍵善さんにとって
宵宮は特別なものなのでしょうね……。
亀屋陸奥さん。題は「共に生きる」。
インスタ映え!と女子高生が喜んでいましたが、これは仏様へのお供え物。
亀屋陸奥さんの伝統とは、御用達である本願寺さんと共に生きて行くことなのですね…。
千本玉寿軒さんの選んだテーマ「星合い」とは七夕のこと。牽牛と織り姫の二つの星が出逢うことです。
お店のある織物の町・西陣の地は今宮神社があり、境内には織り姫をまつる社があります。
西陣の地を大切にされるお店の気持ちがうかがえます。
ガラスのお皿の模様が天の川のようですね!!
亀廣保さんは「めぐりゆく」。
飴細工の可憐な花が永遠に続いて行きそうです。
いつ見ても可愛い飴の細工です!!
二條若狭屋さんは「バトン」。
伝統を受け継ぐ、先代から自分へ、そして次世代へ。
どの世界でも言えることかも知れませんね。
そう考えると自分のなすべきことが見えて来そうな気がします。
全部ご紹介できないのが残念ですが、
どれもメッセージ性のある美しく楽しい和菓子でした。
目にも麗しい京菓子の世界。
京菓子を暮らしに取り込むと、
各家庭にも「伝統」が出来ていくのかも知れませんね。
Text /倉松知さと
関西在住。キャスター、歴史番組制作、京都情報ポッドキャスト制作などを経て、京都・歴史ライターへ転向。京都歴史ガイドブック『本当は怖い京都の話』(彩図社)ほか、雑誌で歴史エッセイを連載中。京都、歴史ジャンルでのラジオ、テレビ出演、講演なども。日本旅行作家協会会員。個人ブログ『京都に来るなら…』https://ameblo.jp/ciaokyoto