スモール・ラグジュアリー・ホテルズ・オブ・ザ・ワールド(以下SLHと略)は、世界80カ国以上に520を超える小規模独立系の高級ホテルが加盟するホテルブランド。伝統的でクラシックなホテル、コンセプチュアルでモダンなホテルなどどれも個性豊かなホテルですが、加盟基準が高いことで有名で、日本で加盟しているのは13軒のみ(2018年2月現在)。SLHに加盟しているとあれば、世界どこにあっても”質の高さやサービスの素晴らしさ”を示しているとも言えます。
そんな世界中のSLH加盟ホテルの中から「SLH Awards 2018」という年間表彰で”最優秀グルメホテル賞”を受賞したのは、国指定重要文化財である東京駅丸の内駅舎の中にあるヨーロピアンクラシックな「東京ステーションホテル」です。日本国内の加盟ホテルがSLH Awardsを受賞するのは初めてのこと。SLH Awardsは、ホテルの目利きといえるSLH会員顧客や海外の旅行代理店などの投票により、17部門で高い評価を得たホテルに与えられる賞です。
東京ステーションホテルの最優秀グルメホテル賞受賞は、フレンチの技法をベースに日本の食材をふんだんに用いる独創的なレストラン「ブラン ルージュ」をはじめ、8のレストランと2つのバーという食のバラエティが高い評価を得たとのことですが、ゲストラウンジ「アトリウム」で宿泊客のために提供される朝食ブッフェが「朝食に惹かれてまた泊まりたくなる」と言わしめる素晴らしさで高評価に一役かったといいます。
まずは、最大天井高9m、天窓から光が降り注いで開放感あふれるアトリウムの空間は、6:30〜11:00 ( LO10:30)の朝食専用という贅沢。和・洋・中など実に110種類にも及ぶほどの品数が並んでいます。契約農家の野菜などこだわりの食材や調味料が使われた料理の数々は、すべて味わってみたいと思わせるものばかり。
たとえば和食コーナーでは、朝からおいしい刺身が並ぶのにも驚かされますが、お醤油も2種類、うまみたっぷりのほたて醤油のおいしいこと。そして、東京にこだわって、両国の名物ちゃんこ鍋が冬の一品で登場。
和食だけでもそのほかにいくらや鰻や牡蠣の佃煮、そして山形の納豆などもうどれも食べたいものばかり。ご飯も高知県の香り米と白米の2種類が並びます。「出来るだけたくさん、いろいろなものを召し上がっていただけるようにポーションを小さくしています」と総料理長。自ら地方にかなり足を運んで、旬のおいしい日本の食材を発掘されるそうです。
そして。これはぜひ食べたいと思ったのが、オーダーしてから作ってくれるシグニチャーの「サーモンとアボガドのエッグベネティクト」。
アボガドに軽い塩味のサーモンがのって、さらにポーチドエッグとオランデーズソース。フォークで割るととろりと黄身が出て、まったりした味がたまりません。軽く仕上げたソースで全体のバランスがまとめられているのがさすが。おいしさにうなる一品です。
子供好きそうな(しかし大人にもおいしそうな)小さなライスコロッケなどを含む洋食系もいろいろ。使われている食材やアレルギーに関する表示がきちんとしてあります。
さらにデザートやフルーツも充実。写真右は「なかののきらめき」という長野県産の果肉の赤いりんご。まだ珍しい品種です。
確かにこの朝食は、東京ステーションホテルに宿泊する醍醐味。日本のホテルとして初のSLH Awards受賞、それも最優秀グルメホテル賞というのも納得です。
そして。最後に1本取られたのが、お客様が「部屋に帰ってからちょっと甘いものが欲しくなる」そんな気持ちを察して、出口に木村屋のむしケーキがお持ち帰り用に置かれていたこと。
さすがの心遣いは、日本のSLHの真骨頂だと思わされました。
朝食は、3,900円( 4歳〜小学生 1,950円、3歳まで 無料、いずれも消費税込・サービス料別)。このためにこのホテルにまた泊りたいというのも納得です。
東京ステーションホテル https://www.tokyostationhotel.jp/
Text/W LIFE編集部