女の後半戦は起業という手もあり②赤っ恥覚悟で、ライター・ワイン輸入・飲食店経営と3足のワラジのスタート

子育て途中に出会った雑誌『STORY』のライター募集に応募し、ライターへ。そして次に出会った自然ワインに魅せられてインポーターに…。起業家となった早坂恵美さんのストーリーはまだまだ続きます。

40代後半に差し掛かり、ライターとして働きながら50歳になったら起業しようと漠然と考えていました。編集長は自分より若くなってくるし、徹夜で原稿を仕上げ、地方に取材、スタジオ撮影などを行っていると、ライター稼業は「今はいいけれどじきに体力的に限界が来るのでは?」と感じ始めたからです。そこでライターとは別にワインのインポートの仕事を始めることに。

まずは、司法書士と税理士に依頼して会社を設立。もちろん、彼らに支払う費用を節約するのに、自分でも手続きはできますが、相当面倒です。また酒を取り扱う商売の場合、税務署に赴いて酒類販売の免許取得を行わなくてはいけません。許可が降りるまで3ヵ月くらいはかかるので、思いたったらまず申請。

 

次に必要なのは、取引先の海外ワイナリーを決めることでした。私は英語しかできないので、いきなりですがアメリカへ。ナパへ赴き、現地で評判のいいレストランへ行き、ソムリエに自分の好きなテイストを説明し、セレクトされたワインの中で気に入ったものがあればワイナリーを調べるというやり方でした。

他の日本のインポーターがすでに取引しているものは輸入できません(これは紳士協定みたいなもの)。朝7時から夜9時まで走行距離900キロの移動をしながらワイナリーを巡りました。

運送業者(フォワーダー)も、倉庫も大手に依頼(当時大手しか知らず、後によりコスパのよい横浜の倉庫に変更)。当時、そんな細かい作業を全て自分で行っていました。

いかんせん、ただのワイン好きが自分で輸入したらもっと楽しいだろうと勢いで始めていますから、全てにおいて知らないことばかり。私の根っこがライター(インタビュアー)だったことで知らないことを聞くということに抵抗がなく、また聞けばどの取引先も丁寧に教えてくれたことでなんとか切り抜けた創業期でした。

現地で知り合った女性が後に弊社のワインのコーディネイターになってくださり、帰国後も取引してくれるワイナリーは増えて行きました。まだ実店舗がなかったので、ショッピングサイトを作り、送られてきたサンプルワインを知人のソムリエやママ友10人くらいで「どれがいい?」と選んでいきました。思えば、たくさんの友人・知人の助けと支えがなければ出来なかったことです。

オンラインショップを始めた頃は、今まで日本に入っていないワインを紹介できるというワクワク感でいっぱいでした。以後その中から世界的な賞を受けたワインもあり、雑誌のブラインドテストで1位になったものもあり、私たちの方向性は間違っていなかったと思います。このネットショップの立ち上げに出資すると言ってくれた方とのご縁で最初の1歩踏み出すことになったのですが、その縁がワイン輸入に加えて、飲食店経営の3足のワラジをはじことになった理由ともなったのでした。では、その顛末は次回に。

Text / 早坂恵美

早稲田大学卒業後、地元広島の地域雑誌創刊編集長を経てフリーランスライターに。結婚して12年間の専業主婦の後、「saita」「STORY」などの女性雑誌を中心にライター業を再起動。47歳でワインのインポート会社を起業の後、飲食店も経営。現在は自然派ワインの販売を主な事業とする株式会社オーシャンダイナーズ代表取締役。横浜在住。

 

 

 

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