シンガポール在住のライター、栗尾モカです。先日、大の日本好きなシンガポーリアンが集まる「Japan Rail Café」に行って参りました。このカフェは、JR東日本によるインバウンド施策のため2016年にオープンしたお店で、集まる人々の大半は日本に数回渡航したことのあるシンガポーリアンとのこと。なかでも常連さんは、そんじょそこらの日本人よりも日本に詳しいという噂です。
物販コーナーの後ろに「中央線」の文字が……。
それもそのはず、このカフェでは政府観光局をはじめ、自治体・企業・団体と連携し日本各地の魅力を紹介しているほか、訪日外国人旅行者向けの鉄道パス類等販売するトラベルカウンターまで設置されているのです。
日本の旅を案内してくれるシンガポーリアンスタッフは、書道や茶道が趣味ということでその造詣の深さを語ってくれ、それぞれ日本語がとても堪能な方々でした。こちらでは不定期でイベントも行われており、日本ファン同士の交流の場としても機能しているそうです。
このカフェに来れば、日本と同じクオリティのカフェごはんを楽しめて、日本の雑貨や食べ物を購入でき、日本の情報をチェックしながら旅の計画を立てつつ鉄道チケットも購入できてしまうというわけです。
場所は、ビジネス街の中心にある「Tanjong Pagar Centre」という高層ビルの1階。夕方になると、ビジネスマンがクラフトビールを囲んでいます。テラス席もあるので、開放的な空間です。
こちらの一番人気といえば、具が盛りだくさんのカレーで、お値段は18ドル。日本円だと1400円ほどです。
ちょっと面白いのが、その盛り付けです。
日本ではカレーはルーとごはんを半々で盛り付けるのが一般的ですが、シンガポールでは「炭水化物はあくまでも脇役」という意識があるそうで、ごはんの量は減らしつつ、ごはんを覆うように卵やお肉やサラダがのせられています。ごはんが見えません。しかしながら、お米は岩手から取り寄せた十穀米だそうです。控えめに隠れているごはんにも、しっかりとこだわりがあります。
多くのインド系の人々も暮らすシンガポールでは、カレーというとインド風のスパイシーなものが多く、日本のマイルドでゴロゴロと野菜の入ったカレーが新鮮に感じるそうで「日本で食べたカレーと一緒だ!」「ここのカレーがシンガポールで一番美味しい」と、大人気なのだそうです。
また、味付けは薄めがウケるので日本のレシピよりも若干塩味をおさえているそう。こういったその土地の人々の好みによる微調整が興味深いところです。
これからも、シンガポールでの食のレポートをお伝えしていきたいと思います。
Text/栗尾モカ
美大でデザインを専攻した後、国際線CA、出版社勤務を経てライター・漫画家に転身。「STORY」などの女性誌を中心にライフスタイルや旅の取材執筆、朝日新聞などにイラスト/コミックエッセイの連載多数。アジアに縁があり、沖縄、ホーチミン、ジャカルタに各3年滞在。2017年よりシンガポール在住。現在アジアの食文化とアーユルヴェーダを研究中。日本ソムリエ協会ワインエキスパート Blog : https://kuriomoca.fun