京LIFE:和菓子でクリスマスも ?!  師走の風物詩・北野天満宮の京菓子展①

年の瀬の京都では美しい和菓子の展示がありました。名残の紅葉が美しい北野天満宮から京都ライター 倉松知さとがお伝えします。

京都は今年9月の台風21号の被害を受け、伏見稲荷さんや鞍馬、貴船など未だに一部、木々が倒れたままの所もありますが、心配された紅葉も色づき多くの観光客を魅了しました。

さて、師走に入り、先日、北野天満宮菓匠会による京菓子の展示がありました。

菓匠会は、江戸時代、貴重な砂糖の使用を許された上菓子屋仲間をルーツとする老舗の集まりです。今回のテーマは「革新」。美しいだけでない、難しいテーマを受けての挑戦的な和菓子の数々をご覧下さい。

 

会場に入って最初に目にしたのは鶴屋吉信さんのピラミッドのような作品。なんと、中の和菓子は七色の光に照らされ、彩りを変化させていくのです。和菓子に光線を当てて変化を楽しむとは……まさに革新的。いきなり度肝を抜く作品でした。

 

「革新」というテーマで、明治の人々に想いを馳せた作品もいくつかありました。

先斗町駿河屋さんは、蹴上(けあげ)の琵琶湖疏水インクラインの春の景色を表現されました。赤煉瓦の疏水の施設と桜並木。疏水のお陰で水力発電が実現し、日本初の市街路面電車が京の町を走りました。このチンチン電車、可愛らしかったです!

鍵善良房さんは「北風」。和菓子の意匠といい色合いといい、そして器も素敵です。

 

「わ~、これ本当に和菓子の材料で!?」と皆さんが驚いていた作品が、メインの写真にも上げました

西陣の千本玉寿軒さんの作品「クリスマス・イブ」でした。

 

まるでこちらの銘菓「雪餅」のようなふわふわの白いつくね芋の「きんとん」が、よりゴージャス感を演出しています。スポンジケーキの部分は蒸し菓子の製法で。

千本玉寿軒さんの雪餅の優しいお味を知っているからか、「これならホール(丸ごと)でいけそう!」と思ってしまいました。

こうやって、和菓子でクリスマスを楽しむのも革新的ですよね!!

 

嘯月(しょうげつ)さんも、クリスマスの和菓子でした。

 

そういえば、京都高島屋デパ地下で、今、色んな和菓子の老舗が思い思いのクリスマス和菓子を販売中です。

人気のものは午前中で売り切れることもあるそうです。今年は和菓子でクリスマスもアリ!?

和菓子をいただきながら季節の風物詩に思いを馳せるのもいいですね。

 

さて、和菓子と器の色合いでこんな素敵な作品に…と、北山杉に静かに降る雪や川端康成の世界を思い起こさせたのが、こちらの塩芳軒さんの作品。

 

器の赤が効いていますね。お抹茶の羊羹も切り方でこんな演出も出来るのかと驚きました。

菓名は禅の言葉から。「日々新又日新」ひびにあらたにして、またひにあらたなり。

絶えず進捗していく志を感じる作品でした。

 

京華堂さんも禅の言葉から。「回天関転地軸」。天関を回(めぐ)らし地軸を転ず。

 

本家玉寿軒さんは「都」でした。

 

 

醒ヶ井の亀屋良長さんは可愛らしい作品。江戸時代から続く小さな丸い銘菓「烏羽玉(うばだま)」をモチーフに師走から新春にかけての二十四節気、季節の行事、京のならわし、歳時記などを和菓子で表現されました。

ひとつひとつが可愛らしくて、皆さん立ち止まって楽しんでおられました。

長久堂さん、末富さん、色合いも愛らしい作品です。

 

亀屋清水さんと亀廣保さんの花輪の和菓子です。かわいくカラフル。

他にも革新的で美しい和菓子が数々展示されていました。

後編では「革新」というテーマから幕末や明治維新の時代に思いをはせた作品をご紹介します。

Text /倉松知さと

関西在住。キャスター、歴史番組制作、京都情報ポッドキャスト制作などを経て、京都・歴史ライターへ転向。京都歴史ガイドブック『本当は怖い京都の話』(彩図社)ほか、雑誌で歴史エッセイを連載中。京都、歴史ジャンルでのラジオ、テレビ出演、講演なども。日本旅行作家協会会員。個人ブログ『京都に来るなら…』https://ameblo.jp/ciaokyoto/

 

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