20世紀のアメリカを代表する画家アンドリュー・ワイエス。足跡をペンシルベニア州でたどるトラベルアクティビスト真里さんの旅の後篇です。
前篇 https://wlifejapan.com/2019/06/29/art-maritabi-andrew1/
アンドリュー・ワイエスの絵画のもう一つの大きな特徴は、あくまでも市井の人々とその日常をありのままに描いたということ。深く刻まれた皺、ほつれた髪。モデルになった近所の人たちを美化することなく、そのまま描いています。まだアフリカ系アメリカ人へ偏見が強い時代に、近所にあった「リトル・アフリカ」と呼ばれる黒人のコミュニティにもよく出入りし、幼少時より一緒に遊んでいたとのこと。アンドリューは大変病弱で、学校にも通えなかったことで、自身もある意味マイノリティ側の人間だったからかもしれません。
![](https://wlifejapan.com/wp-content/uploads/2019/06/65019418_477853652983046_4805154645636808704_n-1-1024x768.jpg)
最後にブランディーワイン・リバー美術館に入りました。川幅がそれほど広くないブランディーワイン川のすぐ横に建つこの美術館。入館してすぐ正面には大きなガラス窓。緩やかに曲がる川を借景とするエントランスホールは、それだけで1枚の絵画のよう。
![](https://wlifejapan.com/wp-content/uploads/2019/07/65043547_670214936773649_123389647295348736_n-1024x768.jpg)
![](https://wlifejapan.com/wp-content/uploads/2019/07/65005531_2291624231166605_12974533560500224_n-1024x768.jpg)
アンドリューとNCワイエスの作品以外にも、現代でも活躍中のアンドリューの息子ジェイミー・ワイエスなどワイエス一族出身のアーティストの作品も収蔵されています。才能とは遺伝子で受け継がれるのか、環境が成せる技なのか、たくさんのアーティストが排出された一族の歴史に驚きました。
アンドリューの作品をじっくり鑑賞していくと、先程のツアーで見た風景が多くの作品に描きこまれていることがわかります。アンドリュー・ワイエスは、この土地に根ざし、愛し、ここを描き続けたのだと実感することができました。
ツアーの最初に私が日本からわざわざ訪ねてきたとガイドの方に伝えると、「ワイエスは日本どころかあまり遠くへ出かけず、人生の大半をこの地過ごしましたが、日本人や日本の文化にとても興味を持っていましたよ。」と教えくれました。アンドリューの絵をみていると、日本文化の「侘・寂(わび・さび)」や「間(ま)」のようなものを感じてしまいます。
「クリスティーナの世界」が描かれた場所は、メイン州にあるワイエス家の夏の別荘。クリスティーナ・オルソンの住んでいた家は国定歴史建造物に指定され、今でも残っているとのこと。こちらも、いつの日か訪ねてみたい!