【美食を求めて】スペイン、バスクとリオハの旅 2

スペイン海岸沿いのバスク地方を離れて、内陸部リオハ地方へ。リオハはスペインワインの最高級品の産地として有名です。赤ワインはスペイン王室の晩餐会に供されるほど。濃厚でしっかりとしたボディですが、バランスが良いので、意外にも飲みやすいです。お肉料理との相性はバッチリです。

リオハ地方の中心地ログローニョに到着。ホテルに迎えにきてくれたのは、有名な醸造家へスース・マドラッソさん。ワイン業界に身を置いて20数年。世界的に著名なソムリエが、へスースさんのことを「伝説」と称しているほど高い評価を得ている方です。

ボデガ(スペイン語でワイナリー)巡りを始める前に、へスースさんにリオハ特有の地形を説明してもらいました。南北を山脈に挟まれることにより、強い北風を防いで穏やかな気候になっていること、雨が少なく乾燥した土地になっていることはブドウの生育にとって良いこと、山脈に挟まれるように大きなエプロ川が走っているため適度な湿度も保たれることなど、良質なブドウが育つ条件が揃っているそうです。

へスースさんが運転する車でボデガ巡りに出発。見渡す限りの広大な丘陵地帯に一面のブドウ畑。所々、小高い丘の上に教会を中心に小さな村が。そんなところにある小規模なボデガばかり4カ所ほど回りました。

とあるボデガで面白いものを発見。ブドウ畑の片隅に、石造り円錐形の建物が。“グアルタビーニャ”というそうです。「ブドウ泥棒を一晩中見張るための小屋だよ。100年以上、ずっと昔のものだよ」とへスースさんが教えてくれました。そして、ブドウ畑の真ん中に大きなオリーブの木が。推定樹齢が千年とか!ブドウ畑の長い歴史を見つけてきた石室とオリーブの大木を目の前にし、リオハの人々がブドウそしてワインを長い年月大事にしてきた気持ち、そしてそれを育む風土を感じました。

ヘスースさんご自身のボデガで、コンクリートタンクでまだ醸造中のワインを試飲させてもらいました。まだ発酵中なので、フレッシュでみずみずしさを感じつつも、ヘスースさんのお人柄が表れているようなバランスの良さ・優しさが広がります。醸造所は大きなタンクがいくつも並んでいて、いわば工場なような印象のところですが、近い将来リノベーションをして、ブドウ畑とその向こうの山脈を一望できるテイスティングルームやお食事もできるパーティールームを作る予定だそう。完成の折はぜひ再訪したいです!

ログローニョの街に戻ってきて、ヘスースさんとバル巡りをしました。旧市街狭い区画の中に数十軒のバルがひしめいています。ヘスースさんによると、どの店にもその店の「スペシャリテ」があるそう。そういうオススメの一品・ワインをグラス1杯頼んで、また次のバルに移動する・・・というのが「正しいバル巡りの作法」。どのお店もそれほど広くなく、立ち飲みかスツールに軽く腰掛けるスタイルが多いので、何品もオーダーして長居をするのは無粋だそうですよ。

バルに入るとカウンターにたくさんの種類のピンチョス(一口おつまみ)やタパス(小皿料理。たいていは2~3人で分けて食べる)がずらりと並んでいます。「オススメはなんですか?」と聞いてみるのも良さそうね。でも今日はヘスースさんと一緒なので、彼のオススメに従います。イベリコ豚のハムを刻んで入れているクロケッタ(クリームコロッケ)やピリ辛のチョリソソーセージ・スペイン風オムレツ・カリカリに焼いた皮つきベーコン・・・全部美味しい!ワインもすすんでしまいます!

ログローニョのバルで一番有名なお店に入ってみました。Bar Sorianoという家族経営の小さなお店は、たった1種類のメニューしか置いていません。芯を切ってひっくり返したマッシュルームの内側に小エビを入れ、刻んだニンニクと特製のオイルソースを加えて鉄板で焼くだけ。キノコの旨味がたっぷり出て、絶品です!

ログローニョで泊まったCalle Mayorというホテルをご紹介したいと思います。16世紀に建てられた小さな館をリノベした、わずか12室の4つ星のブティックホテルです。エントランス、ダイニング、階段の吹き抜けなどは16世紀建築当時から使われていた石材などを多用し、一方、客室は完全リノベし、バスルームも含め快適な作りになっています。

現代的なインテリアを配置していて、石造りの建物との素敵なコントラスト。朝食も美味しく、スタッフもとてもフレンドリーで、気持ちよく滞在できました。

ログローニョを後にする前に、ホテル近くのスパイス屋さんに立ち寄りました。ヘスースさんもご愛用のお店だそう。楽しかったバスクとリオハの旅行の記念に、スペイン産のサフラン・パプリカパウダーを買いました。バル巡りを思い出して、スペイン料理に挑戦してみようかな!

Text/トラベルアクティビスト真里

世界中、好奇心を刺激する国々を駆け巡るトラベルアクディビスト。外資系金融機関に勤務の後、1年の3分の1は旅をする生活へ。ジョージア、バルト3国はじめ訪れた国は50カ国以上。日本中も巡り、行った先で出会った人、風景、食etc. 旅の醍醐味をレポートします。

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