免疫力のアップ法に注目が集まるこの頃。細菌が体に侵入する際に最初にアタックする喉は特に大事に守りたいものです。そこで、抗菌効果が期待できる成分の入ったお茶を飲む習慣を始めませんか?伝統的なお茶のいれ方をインド人ティーマスターから伺いました。
レモネードにスパイスをプラス
日本では、風邪のひき始めに温かいレモネードを飲むことがありますが、インドでは、生姜や黒胡椒、クローブを入れた水を沸騰させ、レモンとはちみつを加えて飲むことがあるそうです。スパイス入りのレモネードは日本人にとっては馴染みがありませんが、どのような効果が期待できるのでしょうか。
「スパイス自体に薬効があります。スパイス入りのレモネードは喉を殺菌しながら潤すことができるので、朝に一度飲むか、必要に応じて一日に何度か飲むと良いですね。スパイスは心身のバランスを整える効果がありますし、アグニ(消化の火、または食べ物を消化するための体の力)が高まることで健康に繋がります」とのこと。
それぞれのスパイスの効能は?
生姜は免疫力を高め、呼吸器疾患を予防する殺菌効果が期待できます。風邪による喉の痛みのほか、腹痛や生理痛を鎮める効果もあります。また、胡椒は殺菌作用があるとされ、インドでは大航海時代から大切にされてきた香辛料。薬としても利用されていました。同様に、クローブにも殺菌・消毒効果があります。
アーユルヴェーダの秘伝配合「Trikatsu」を使ってみよう
伝統的な健康習慣に関することが書かれたインド伝統医学省のホームページに、免疫力を高める効果が期待できるというハーブの調合に関する記載がありました。アーユルヴェーダでよく用いられる
生姜・黒胡椒・長胡椒の3種の組み合わせです。これは“ミラクルブレンド”とも呼ばれているそうで、Trikatsuという名前がついています。
長胡椒はインドではよく使われるようですが、日本では、沖縄でよく使われるスパイスです。
レシピによると、Trikatsuのパウダー5gmとTulasiの葉3〜5枚を1リットルの水で沸騰させたドリンクを、必要に応じて飲み続けると良いとのこと。ややスパイシーですが、まさに生薬という感じです。
Tulasi(トゥルシー)は、サンスクリット名で “比類なきもの”という意味を持つシソ科のメディカルハーブで、インドのアーユルヴェーダでは不老不死の霊薬として扱われてきました。
Tulasiの葉に含まれるエーテル(ジエチルエーテル)には、強力な抗菌効果があると言われており、
別名ホーリーバジルとも呼ばれます。名の通り神聖なハーブなので、インドでは寺院などの神聖な場所の周りにホーリーバジルが植えられていることも多いそうです。
身近な例ですと、エスニック料理が好きな方の中にはガパオと呼ばれるタイのひき肉ライスに添えられているハーブを食したことがあるかもしれません。あの香り高い葉がTulasiです。
ホーリーバジルは、苗で育てることが出来ればベストですが、主にお茶としてネットで気軽に購入することも出来ます。植物の天然成分を生かして免疫力を上げることができれば、理想的ですね。
Text : 栗尾モカ
シンガポール在住のライター・イラストレーター。光文社「STORY」など女性誌を中心にライフスタイルや旅の取材執筆、朝日新聞などにイラスト・コミックエッセイの連載多数。著書「女のネタ帖」(学研)「サロン・ド・勝負」(KADOKAWA)「おしゃれレスキュー帖」(KADOKAWA)