旅の要素に体を動かすアクティビティや健康食を取り入れ、健康になることを目指す「ウェルネスツーリズム」。でも、せっかく旅するのだから美しい景色も楽しみたいし、その土地ならではの美味しいものだって思い切り食べたい……。そこで、ちょっと気になるツアーのモニター体験ができると聞き、静岡市清水区に出掛けてきました。
富士山の雄姿が間近に迫り、世界文化遺産の構成要素のひとつ、三保の松原で知られる静岡市清水区。「清水スマートウェルネスツーリズム」は、富士山を眺めらながらサイクリングやヨガを楽しみ、地元・駿河湾の食材をたっぷり使った料理を味わうというこのツアーを企画しているのは、「ホテルクエスト清水」を運営している株式会社竹屋旅館です。さらに最新のモバイル機器と連動し、心と体の状態を「見える化」して教えてくれるのが、これまでにないポイントです。
オリエンテーションで渡されるのが、腕時計型の活動量計「fitbit(フィットビット)」と、耳たぶに装着するイヤホン「ambie sound earcuffs(アンビー・サウンド・イヤーカフ)」、そして、センサーを搭載したメガネ「Jins meme(ジンズミーム)」の3つ。いずれもスマホのアプリと連携させて利用します。
サイクリングコースは、世界遺産・三保の松原。松林が美しい海岸線のコースを、富士山を眺めながら走ります。このとき威力を発揮するのが、スマホによる音声ガイド「Otono(オトノ)」。登録されたスポットに近付くと、自動的に音声ガイドが流れる仕組みになっています。耳たぶに装着するタイプのイヤホンは初めてでしたが、こんなにもクリアに音声が聞こえるのかとびっくり。耳の穴をふさがないため、外からの音も同時に聞き取れ、自転車走行時も安心です。
海岸に天女が舞い降りたとされる「羽衣伝説」が残る三保の松原では、砂浜にマットを敷いてヨガ体験を。ここで地元から参加した女性が教えてくれたのが「はちまき石」。白い帯がかかった石は縁起がいいとされ、見つけると願い事が叶うのだとか。それを知り、夢中になって探してしまいました。
休憩中には、「Jins meme」と連携している、スマホアプリのチェックが楽しみ。センサー付きのメガネは、目の動きから集中力や活動量を測定し、「アタマ年齢」と「ココロ年齢」を教えてくれます。サイクリング出発前に30代だったココロ年齢は20代後半に、カラダ年齢も30代というまずまずの結果に、思わずニヤリ!
アクティビティ後のお楽しみが、駿河湾はじめ地元の食材をふんだんに盛り込んだ「駿河湾レシピ」のディナー。このお料理、フルコースを完食してもカロリーは700kcal以下だなんて、信じられますか? バターやクリームを極力使わず、野菜のとろみを利用したり、パスタやパンを低糖質のものに置き換えていること。また食物繊維が多く含まれる根菜やキノコをたくさん取り入れていることも特長です。
メニューを考案した「ホテルクエスト清水」の青木一敏料理長は、「美味しい健康食」を提供するメディシェフマスター。実際に食べてみると、野菜や魚介、素材そのものの旨みや香り、歯ごたえがしっかりとあり、いわれなければ低カロリーであることに気づきません。デザートまで完食しお腹いっぱいになったのに、翌朝は空腹で目が覚めたのにはわれながら驚きました。
プログラムは、翌朝の振り返りのアクティビティレポート検証と、専門家による健康アドバイスまで続きます。「fitbit」で記録した前日の活動量からは、安静時と運動時の心拍数、基礎代謝量や、サイクリングとヨガで消費したカロリーがわかります。また、着用して眠ることで睡眠の質を知ることもできるのだとか。針を使わない血糖値測定、唾液によるストレスレベル測定もあり、個別にアドバイスを受けることもできます。
現在、モニターツアーを繰り返し実施し、内容を検証している最中で、正式なスタートは2021年2月の予定とのことです。
清水といえば、サッカーJリーグ「清水エスパルス」の本拠地、また人気アニメ「ちびまる子ちゃん」の故郷でもあり、駅周辺や街なかでは、さくらももこさんの可愛らしいイラストが迎えてくれます。清水港周辺の市場でお土産を探したり、新鮮な魚介が安く食べられる食堂を巡るのも楽しみ。さらにブラッシュアップされた内容を体験するため、再びこの地を訪れたいと思っています。
取材協力:株式会社竹屋旅館 https://www.takeyaryokan.com/
TEXT/永田さち子
ライター・編集者。医学雑誌、スキー雑誌の編集を経てフリーランスに。旅行書、雑誌を中心に旅、グルメ、料理、健康コラムなどを執筆。ハワイに関する著書に、『ハワイのいいものほしいもの』『おひとりハワイの遊び方』『ハワイを歩いて楽しむ本』(実業之日本社)、『50歳からのHawaiiひとり時間』(産業編集センター)ほかがある。旅行情報サイト『Risvel(リスヴェル)』にコラムを連載中。http://www.risvel.com/column_list.php?cnid=6