【不老脳(12)】腸がよくなると、脳がよくなる!? 認知症予防

先日、私が所属する日本認知症予防学会の年1回の学術大会に参加してきました。そこでは最新の認知症予防に関する様々な研究が発表されます。

今年は、食による認知機能改善に関する発表が多いと感じました。食べることで認知症を遠ざける、日常生活で実践しやすいからでしょう。今回は、腸内環境と認知機能について、そして腸内環境をよくするための方法についてお話します。

今、話題の「腸脳相関

ストレスを感じるとお腹の調子が悪くなることがあります。ストレスを感じているのは脳ですが、実際の症状はお腹に出る。また胃腸の調子が悪いと、その情報が脳に伝わって、腹痛や腹部の不快感とともに不安感などがわき起こります。

「腸脳相関」とは、脳と腸が自律神経などを介して密接に影響を及ぼしあう関係を指します。そして最近では、腸の中に住んでいる腸内細菌が脳の機能に影響を及ぼす、腸の中の細菌の働きが注目されています。

ヒトの腸内には約1,000種類、100兆個以上の腸内細菌がいます。その重さは約1キログラムから2キログラムと言われています。腸の壁に隙間なくびっしりと張り付いていて、お花畑(フローラ)にみえることから「腸内フローラ」と呼ばれます。正式には「腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)」といいます。

この腸内フローラが、悪玉菌(大腸菌など)が減り、善玉菌(乳酸菌やビフィズス菌など)が増えている状態になると、腸内環境がよいということです。

日本認知症予防学会でも、ビフィズス菌による腸内環境の改善が、自閉症やうつ、精神ストレスに加え、軽度認知障害(MCI)やアルツハイマー病認知症の発症・進行に作用することが発表されていました。

腸内環境の改善に発酵食品

腸内に善玉菌を増やし、腸内環境を整えるには、運動、睡眠、ストレス低減なども重要と言われていますが、まず腸内細菌が喜ぶ食事をすることが大切です。

そこで近年、とても注目されているのが、「発酵食品」。発酵食品には、善玉菌である乳酸菌やビフィズス菌がたくさん含まれています。

発酵食品がよいとはわかっていても、納豆やキムチ、チーズや漬物ばかり食べるのは難しいですよね。そこで私が注目して実践しているのが「発酵調味料」です。普段使っている砂糖や塩、醤油を発酵調味料に置き換えると、自然とたくさんの発酵食品をいただくことができます。

具体的には、塩の代わりに塩麴、砂糖は甘麹、醤油は醤油麹をつくり、普段の調味料として使います。麹にはたくさんの酵素が含まれているので、栄養価アップ、消化・吸収力アップ、そしてうま味や甘み、香りなどのおいしさも加わります。

そして、腸内環境が整うことは、認知機能の改善だけでなく、肌がキレイになる、リラックス効果、免疫力アップ、お通じが良くなる、アレルギーになりにくくなる、痩せやすい体になるなど、様々な効果があることがわかっています。

発酵調味料の作り方、使い方

簡単にできる発酵調味料のレシピをご紹介します。

塩麹」 水100cc、麹100g、塩28gを清潔な入れ物に入れます。毎日1回かき混ぜて常温で1週間ほど置いたら完成です。できたものは冷蔵庫で保存して1~2か月で使い切ります。「塩麴」は、肉や魚の下味に使うと、柔らかくなりうまみも増します。冷やしトマトやキュウリにのせて食べてもおいしいです。私はほとんどの料理で塩の代わりに使っています。

また「塩麴」大さじ3に、ニンニク1片、オリーブオイル1カップを入れると「ガーリック塩麹オイル」になります。ベーコンと野菜を炒めて、ゆでたパスタを加え、最後に「ガーリック塩麴オイル」で味付けすると、最高です。

腸内細菌、腸内フローラ、腸脳相関に関する研究は、世界的にも旬で注目され、活発になっています。研究でわかったことを日常生活に生かして私たちの健康や幸せのために活用していくことが、とても重要だと考えます。ぜひ、発酵食品を食生活に取り入れる、発酵調味料づくり、お試しください。

Text / 糸藤友子
リクルート→ベネッセ→ミズノを経て、50歳で脳科学ベンチャーへ。母の死をキッカケに健康寿命の延伸をミッションと決める。「人生は1回きりの旅である」から、いろいろな人と出会い、様々な体験をして、豊かに生きたいと願う。ベンチャーでは、脳を計りながら鍛える“最新”脳トレサービスを立ち上げ中。【Active Brain CLUB】https://www.active-brain-club.com/ 【ストレスマネージャー】https://www.neu-active-brain.com/stress-manager/

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