京LIFE:広大な芝生に3000冊のマンガ本!地元に愛され続ける百貨店屋上を目指し半世紀ぶり大幅リニューアル!

 約50年ぶりに8階レストランフロアと屋上広場を一新した大丸京都店

開放的な空間には担当者たちの熱い想いが詰まっていました。

 百貨店、デパートの屋上といえば、遊具で遊んだりした子供のころの懐かしい想い出が浮かぶ人は多いのではないでしょうか。

しかし、いつしか時代の流れで遊具は消え去り、私自身も滅多に行くことがなくなっていました。

 京都の繁華街、四条通りに面する大丸京都店の8階屋上広場はここしばらく芝生とベンチだけでしたが、この秋、約半世紀ぶりに大幅にリニューアルされました。

芝生の上には京都ならではの北山杉製ツリーも

 屋上広場「ことほっとてらす」には広々とした天然芝、人工芝が敷かれました。その上には北山杉を使った木製家具などが置かれ、皆、思い思いにくつろげるようになりました。

今年のクリスマスシーズン、あえてモミの木ではなく北山杉のツリーにしたワケは、「京都府の木」である北山杉の森林資源を利用することで地域の振興につながったり、また子供から大人まで北山杉の魅力を知ってもらいたいからなのです。

京都の森林資源を利用 地球に優しい木製家具を使用

たくさん置かれた樽状のテーブルは、京都の企業 小川珈琲が輸送に使った樽の再利用。椅子には北山杉の端材などが活用されて、環境を考えたり、地元の産業に思いを寄せるような仕掛けがされています。

 ここではただお喋りしに来ても良し、広場に開かれたカフェやお店でテイクアウトしたものをここで食べても良し。はたまた、デパ地下で買ったお惣菜をここで食べるも良し。家から持ってきたお弁当を広げても良しと、本当に自由な空間となっています。買い物客だけでなく近隣で働く人も利用できますね。

天然の芝生が贅沢に広がる

 また、四条通り側には本物の天然芝が敷かれ、ここが京都の繁華街のど真ん中とは思えないほどのどかで豊かな空間が広がっています。

 この広場の責任者のおひとり、営業部3部部長の今井良祐さんにうかがうと、「自分自身も子供のころ、この屋上でよく遊びました。リニューアルしたこの屋上をぜひ、地元の皆さんに日常使いをしていただきたいです。」とのこと。

テラス席からは子供の様子も見ながら食事が出来ます

「芝生にしたのは、お子さんが走ってこけても痛くないように。ここだと車の危険もなく、思いっ切り走れます。また広場に面したカフェからも子供の様子が見えるので、親子で来られたらどちらも楽しんでほしいですね。」

この視点って親としては本当に有難いですよね!!

 HAKARU(はかる)と書かれたこの場所は…?

「HAKARU(はかる)」と書かれ横に引かれた数本の線。これは、家の柱に印をつけるかのように、広場を訪れる度にここで写真を撮ったら自然に子供の成長の記録になればとの想いが込められているそうです。

 そうやって地元の人が日常的に集う場を目指して作られた屋上広場は、その名前「ことほっとてらす」の通り「ホッとする」憩いの場になりそうです。

まんがの壁 『美味しんぼ』を全巻読みたい方は来たれ!

さて、屋上広場から一歩建物の中へ入ると、レストラン街には珍しいスペースが!なんと壁一面にマンガ本がズラリ!!

 なんとここには食にまつわるマンガが約3000冊も集められたそうで、無料で自由に読み放題とあり、早速人気スポットになっています。これなら子供だけでなく、ビジネス街の仕事帰りのサラリーマンにもフラッと立ち寄るきっかけにもなりそうですね。

『将棋めし』や『将太の寿司』なども全巻読めます

『美味しんぼ』『クッキングパパ』『きのう何食べた?』などなどあらゆる世代に刺さるマンガが全巻揃っているのが凄い!

 確かに京都には平安~鎌倉時代の国宝の絵巻物『鳥獣戯画図』に始まり、京都市内にはマンガミュージアムがあったり、大学にマンガ学部があるなど日本のマンガの聖地でもあります。

食に興味を持つきっかけに京都DNAが流れるマンガを切り口にする、そのスペースを敢えてこの一等地に立つ百貨店のレストラン街フロアに設置する心意気に、本気で京都、日本の食文化を担う次の世代をここから育みたいという気持ちが伝わってくる気がしました。

人々が日常使いすることで想い出を作る場に

 半世紀ぶりのレストラン街と屋上リニューアルを成し遂げた大丸京都店。

京都の繁華街、ビジネス街のど真ん中にありながら芝生の大広場で子供が駆け回れたり、百貨店では普通あり得ないBBQが屋上で出来たり、はたまた3000冊のマンガ本が読み放題だったり・・・本当にユニークなフロアになっています。

 10月には屋上広場にスクリーンを貼って映画の上映会もしたそうです。まだまだ色んな使い道が出来そうなスペースなので、今後が楽しみです!

 このところ、京都は外国人観光客過多、いわゆるオーバーツーリズムのせいもあり、市バスに市民が乗れない、地価が高騰し京都市内に住めないなど、地元の人たちが肩身が狭いしんどい思いをすることが増えている気がしています。

ヴォーリス氏設計の美しい建築も人気の大丸京都店
大丸京都店 外観

 お店も観光客や海外からのお客さんに向けたコンセプトが増える中、大丸京都店は軸足をしっかり地元に置き、レストラン街では各店舗が京都府内の食材を使い、この屋上も地元の子供たちの成長の場、近隣の住民やビジネス街で働く人々が朝から夜遅くまで気軽に集え、想い出づくりの場になるよう「ちゃんと地元の人や土地を大切にしながらお商売をしてくれてはる!」と思うとちょっと嬉しくなりました。

 さすが京都の地で創業300年超の老舗百貨店、大丸京都店。

「先義後利」の精神のもと、これからも屋上広場「ことほっとてらす」や8階フロアのお店が愛され続けますように。

大丸京都店 8階レストランフロア https://www.daimaru.co.jp/kyoto/restaurant_floor_open/

夜10時までゆっくりと! 営業時間 11:00~22:00[VEGGIE ISO TERRACEは23:00まで]

大丸京都店 電話075(211)8111

https://www.daimaru.co.jp/kyoto/

Text /倉松知さと 

関西在住。キャスター、歴史番組制作、京都情報ポッドキャスト制作などを担当後、京都・歴史ライターへ転向。歴史ガイドブック『本当は怖い京都の話』(彩図社)ほか、雑誌で歴史エッセイを連載中。京都、歴史ジャンルでのラジオ、テレビ出演、講演なども。日本旅行作家協会会員。

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