その昔は貴族の楽しみ 気持ちの上がるお香に開眼

日本のお香って敷居が高い感じ…と思っていたのですが、12月に宿泊先の「星のや京都」で枕香を作ったり、聞香(香りは嗅ぐのではなく聞くのです)をしてみたりで、すっかりお香ファンに。さらに香木店でその楽しみ方の広さに驚いたのでした。

訪れたのは、京都御所の近くにある江戸時代から続く老舗の香木専門店「山田松香木店」。まず、店内にあるお香商品の種類が多いのにびっくり。驚くほど高価な(最上級の伽羅は1グラムが27000円!)香木から、おなじみの線香、蜜や梅肉等で練り合わせた煉香、粉末になって手のひらに塗る塗香(ずこう)、匂袋、そして仏前で使う焼香や抹香など。匂袋は、巾着袋だけではなく、花の形や干支の形などいろいろあって置物として楽しめるものも。

次に驚いたのはお手頃な値段のものも多いこと。印香という粉末状にした香木や香原料を型に押し固めて乾燥させたものは、形もいろいろ。「花京香」という商品は、草花の形のお香が1月から12月まで誕生月に合わせて12種類。どれもかわいい!

私の誕生月の5月はあやめで”水辺の花々を思わせる華やかな香り”。印香5枚入り300円、専用香立て150円という気軽に買えるお値段(すべて価格は税抜き)。気の利いたギフトになりそうでいっぱい買ってしまいました。

夏の扇子などで爽やかな香りになじみのある白檀を使用したお香「逍遥 白兆」は、ミニ香立が付いて15本入りで1100円。どこでも持って歩けそうなコンパクトさにお手頃なお値段。

塗香は、粉末にした香木や天然香原料を調合したお香で、寺社の参拝前や仏前などに手のひらに塗って身を浄めるためのものですが、落ち着く香りで気分の転換にもよさそう。入れ物がまたなかなかかっこいい。

また12月は時節柄もあって干支の戌の形の匂袋やお正月用にお屠蘇も置いてました。お屠蘇は元々、薬草の袋を井戸に入れて飲み水の浄化を図ったのが始まり、お香の原料となる天然香料の中には薬種として漢方に使われるものも多いのだそう。体にもよさそうです。「山田松香木店」は、店の前身が漢方薬店だったとのことで、店内には薬箪笥を使ったディスプレイも。

香りのバリエーションもあって、海外の人へのお土産にも喜ばれそう。平安時代には貴族の楽しみだったお香が一気に身近になって、しかも優雅。東京のメトロ半蔵門駅のすぐ近くにも支店があります。

山田松香木店 http://www.yamadamatsu.co.jp

text / 小野アムスデン道子

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