10月に入り、朝晩が冷え込むようになりました。夜空も澄み渡り、月夜が美しい今日この頃。京菓子の世界にも秋が訪れています。
まだまだコロナとの戦いは続いているため、私も大好きな京都の和菓子屋さんを巡ることは断念し、もっぱらお取り寄せかデパ地下で買うスタイルになっています。
つい最近、お月見の和菓子を楽しんだばかりですが、秋の夜長を楽しみたくて、京都高島屋のデパ地下で、こんな素敵な京菓子の数々に出逢いました。
ほの明るい月夜に、そよぐ風に揺れるススキの穂。
なんとも言えない夜色の表現が美しく、一番に目に飛び込んで来ました。
外郎とこしあん製です。
その名もズバリ「名月」。月の優しい光の中、うっすらと浮かび上がる月うさぎさんが愛らしい和菓子です。近くで見ると、薄い層が重なってうさぎを表現していることが分かります。外郎製で、中は、嬉しい栗あん。お口の中にも秋が広がります。
季節の先取りは和菓子の基本。朝晩の冷え込みで、葉先だけが色づき始めた紅葉も確かにあります。羊羹生地を紅葉型にくり抜き、あんの周りに何枚も重ね合わせて表現。この紅葉の緑から黄、赤へのグラデーション具合は、季節が進むにつれ、変化させていくそうです。
こちらも栗あん。秋が満載です。
シンプルな形の栗きんとんは、栗好きの方におすすめです。少し粗めの目の篩(ふるい)で裏ごししたきんとんは、懐かしい秋の風景を思わせる野趣に富んだ和菓子です。中は黒こしあん。
これらの多くは人気の品で、お昼頃にはもう品切れになっていました。朝一番にお店に行って良かった~!
ご紹介した和菓子屋さんでは、この他にも様々な秋の和菓子を販売中です。一部、お取り寄せが出来るものもあります。ぜひお問い合わせ下さい。
心が疲れがちな今年の秋は、ぜひ京都の和菓子で潤いを!!
今年の10月は、もう一回満月があります。それは10月31日(土)。素敵な和菓子とともに、もう一回、秋の夜長にお月見をしませんか。
『名月』亀屋良長HP
『秋の野』『栗きんとん』千本玉壽軒HP
『紅葉狩り』二條若狭屋HP
Text /倉松知さと
関西在住。キャスター、歴史番組制作、京都情報ポッドキャスト制作などを担当後、京都・歴史ライターへ転向。
歴史ガイドブック『本当は怖い京都の話』(彩図社)ほか、雑誌や児童書でも執筆中。京都新聞では医療記事も担当。
京都、歴史ジャンルでのラジオ、テレビ出演、講演なども。日本旅行作家協会会員。