【大人の嵐山紀行2】渡月橋を前に至福のグルメとアートに浸る

嵐山、桂川に架かる渡月橋は、鎌倉時代に亀山上皇が橋の上の月を眺めて「くまなき月の渡るに似る」と称した優雅な橋ですが、桜と紅葉の頃はもちろん、多くの観光客で賑わっています。【大人の嵐山紀行2】では、喧騒から逃れてお招きにあずかった、渡月橋と川の絶景が広がるホテル「MUNI KYOTO by 温故知新 (以下 MUNI KYOTO) 」と隣接の福田美術館を紹介します。

テラスから部屋の前の「黒の庭」を望む。嵐山と地層と川の流れを表現。

MUNI KYOTO は、嵐山の渡月橋のたもとに佇み、”唯一無二”な景色を望む21室だけのラグジュアリーなホテル。眼前には川と渡月橋、テラスからはその地形に溶け込むような庭園が見えます。心地よいナチュラルモダンな客室、そしてアラン・デュカスの名前を冠するダイニングで至福の時間を過ごし、隣接する美術館では日本画の名作に対峙して豊かな時間が過せます。

ナチュラルモダンなインテリアに柔らかな間接照明が室内を照らす。
シェードを上げたバスから室内、テラスの向こうの緑も見える。

48.7㎡~76.4㎡とゆったりした部屋は、天井までのガラス窓の向こうに嵐山の景色が広がり、バスルームからもゆったりと湯に浸かりながら、この美しい風景が見通せます。木材と漆喰で仕上げられた自然な感じと間接照明がとても落ち着く室内、絶景のテラスと贅沢な滞在時間が過せます。アランミリアのジュースなどもあるミニバーのソフトドリンクは無料。夜は、寝心地のよいベッドと驚くほど軽やかなデュベでぐっすり眠れます。

ロビーと宿泊棟を繋ぐ中庭「白い庭」の造形も嵐山の地層を思わせる。
福田美術館はすぐお向かい。嵐山で日本画の美に触れられる。

喧騒から逃れて、静かな大人の時間を過ごすためのホテルのお向かいに立つのは、江戸から近代の京都画壇を中心に約2000点の日本画コレクションを誇る福田美術館。MUNI KYOTO に宿泊すると、宿泊期間中(チェックイン日~チェックアウト日)に利用できる入館券がもらえます。HPを見ると「あっ、この絵実際に見てみたい」と思う名画を数々所蔵されてます。また、こちらもまた目の前に川と渡月橋のパノラマビューが広がる「パンとエスプレッソと」のカフェがあります。入館者専用のカフェなので落ち着いて過せます。ふわふわのクリームの上に福の字があしらわれた季節のフルーツたっぷりの福パフェはぜひ味わいたい一品です。

美術館内の眺めのよいカフェと人気の福パフェ。
竹久夢二のレトロな画風には憧れるような女性の美があふれる。

2023年10月9日(月)まで開催の展覧会「竹久夢二のすべて 画家は詩人でデザイナー」は、2024年に生誕140年、没後90年を迎える画家、竹久夢二の回顧展。憂いを帯びた顔が魅力的な「夢二式美人」の絵がずらり。また、雑誌の挿絵、楽譜の表紙デザイン、本の装丁や俳句・作詞と多彩だった竹久夢二のデザイナーとしての作品も数多く展示されています。映画にもなった恋多き人生で知られる竹久夢二が描く女性たち。はんなりとした色気や夢二への想いも伝わってくるようでとても見ごたえがありました。

福田美術館  https://fukuda-art-museum.jp/

さて、MUNI-KYOTOでとても楽しみにしていたのは「食事」。フレンチの巨匠、アラン・デュカスが展開するレストランが館内に2つもあるのです。一つは、ミシュラン一つ星のグランメゾン「MUNI ALAIN DUCASSE」、もう一つは川が目の前に見えるカウンターでカジュアルに朝食・ランチ・ティータイムを楽しめる「MUNI LA TERRASSE」。

夕刻も優雅に。シャンパーニュや抹茶を使ったカクテルを。

「MUNI KYOTO」では、夕方に「MUNI LA TERRASSE」で、17〜19時にカクテルタイムを催しており、香ばしいチーズの薫るシュー、グジェールやナッツなどをつまみながらシャンパーニュやカクテルをまず一杯。そして、地下にあるMUNI ALAIN DUCASSEへ。

香川県産スズキにお出汁のピルピルソース トマトと食用花のナスタチウムを散らして。
丹波産和牛フィレ肉のバーベキュー 賀茂茄子と鰻の燻製を添えて。

抑えた照明に浮かび上がるシャガールの絵やテーブルに置かれたバカラのグラスのエッチングが美しい。心掴まれる空間と洗練されたサービスで提供されるディナーは京野菜や丹波産和牛フィレなど地元の食材も使った至高のフレンチ。アラン・デュカスのもとで10年にわたり研鑽を重ねたアレッサンドロ・ガルディアーニがシェフを務めています。素材の味わい・香りや食感の活かし方、はっとするような色彩感覚が素晴らしく、食事に合わせて次々と出てくるパンまでもが他にない個性と味わいで、記憶に刻まれる素晴らしいディナーでした。

朝はたっぷりの野菜やフルーツそしてコンテチーズが香る目玉焼きを。

翌朝、朝食は「MUNI LA TERRASSE」で。野菜サラダと共に、「ポーチドエッグとサーモン」か「コンテチーズとベーコンの目玉焼き」、または「ブリオッシュのパン・ベルデュ」から一品。クロワッサン、ショコラティーヌ、パン・オ・レザンやパンが盛られ、春百花の蜂蜜やボルディエバター、良産古代米のコンフィチュール、ル・ショコラ・アラン・デュカス、オレンジマーマレードとコンディメントも豪華。ショコラの美味しさや言わずもがなですが、フレッシュなオレンジマーマレードがさすがでした。

嵐山の美しさと滞在の贅沢さが思い出を刻む大人の嵐山紀行でした。

MUNI KYOTO by 温故知新  https://muni-kyoto.com/

Text / W LIFE編集長 小野アムスデン道子



世界有数のトラベルガイドブック「ロンリープラネット日本語版」の編集を経て、フリーランスへ。東京とポートランドを行き来しつつ、世界あちこちにも飛ぶ、旅の楽しみ方を中心に食・文化・アートなどについて執筆、編集、プロデュース多数。インバウンド・コンサルタント。日本旅行作家協会会員。


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