夏には家飲みでビール!ラガーだけじゃないアメリカンクラフトビールを味比べ

コロナで外出控え、さらに外は暑い!「ここは家飲みでビールでも楽しみながらオリンピック観戦」という方も多いと思います。この機会に個性豊かなクラフトビールをいろいろ飲み比べてみるのも楽しいと思います。

ビールは、糖質である麦汁を酵母菌などがアルコールと炭酸ガスに分解する発酵で生まれますが、ここで酵母が麦汁の表面に浮き上がっていく「上面発酵」とタンクの下に沈んでいく「下面発酵」という2つの発酵方法があります。私たちがよく飲むビールもこの2種類に分かれていて、上面発酵は「エール」、下面発酵は「ラガー」と呼ばれています。

ラガーは、発酵温度が低く雑菌が出にくいので大量生産に向いていて、のどごしがよくキレのある爽快な飲み口。エールは、イギリスやベルギーで古くから好まれたビールの造り方で、コクや芳醇さが持ち味。クラフトビールは、小規模醸造所が造っていて、ホップを使って個性的な味わいを出すエールのタイプのものが多いのです。

特にアメリカは、もともと18世紀にイギリスから持ち込まれたエールビールの歴史をもちながら、19世紀以降にはドイツ系移民によって始まったラガービールが広まり、主流となった「バドワイザー」などは世界的にも有名ですね。

一方で、クラフトビールの潮流をもたらしたのもアメリカ。1980年に「シエラネバダ ブリューイング」が柑橘類や松ヤニなど樹脂のアロマが特徴の「カスケードホップ」を使って造った「シエラネバダ ペールエール」は、画期的な味わいでクラフトビール人気の発端となったそう。

そんな歴史のあるアメリカンクラフトビールは日本にも輸入されています。産地の異なる3つをご紹介します。


まずはカリフォルニア州から、アメリカのクラフトビールの先駆けとなり、今も牽引する存在である「シェラネバダ ブリューイング」のレジェンドな「シエラネバダ ペールエール」。北カルフォルニアの学園都市チコで、化学を学んだケン・グロスマンがホームブルワーから始めて、1980年に生み出したペールエールです。

シェラネバダ山脈が描かれた緑色の缶を見たことがあるという方も多いのでは。注ぐと濃い黄金色に輝くペールエールは、最初に感じる柑橘系のフルーティさとホップの旨味、そしてモルトの味わいも広がります。


お次はバージニア州から、コロニアルな建物や緑が美しいウィリアムズバーグの街で2016年に生まれた「ザ バージニア ビア カンパニー」のインディアペールエール「フリーヴァース」。大学で出会った2人の創業者とブリューマスターの出会いが生み出した創造的なクラフトビール。

爽やかな缶のデザさイン、そそぐとハチミツ色に輝くビールは、グレープフルーツのようなフルーティな香りがします。一口飲むとトロピカルな豊潤さやモルトのコクが広がり、後味は再びフルーツのような爽快さと苦味が締めてくれます。


最後はオレゴン州のコースト沿いの街ニューポートで、ホップ、大麦、ライ麦等ビールに使用する原料を自家栽培し、保存料、添加物、化学物質は一切使用しないというオレゴンらしいビール造りの「ロッグエールズ」から個性的な缶の「デッドガイエール」。

このビールは、ドイツスタイルの下面発酵ビールですが、メイボックと呼ばれるやや高めのアルコールでドライさが感じられます。ガイコツの絵柄は万霊節に祈りを捧げて杯をかたむけるのに造ったからだそう。そんな由来からか、モルトの芳醇な香りにフルーティなコクも感じるとても味わい深いビールです

なんといっても個性が持ち味のクラフトビール。一言でまとめられないテイストが魅力なんです。ぜひ飲み比べてみてください。

アメリカンクラフトビール協会 https://uscraftbeer.jp/

Text/小野アムスデン道子

世界有数のトラベルガイドブック「ロンリープラネット日本語版」の編集を経て、フリーランスへ。東京とポートランドを行き来しつつ、世界あちこちにも飛ぶ、旅の楽しみ方を中心に食・文化・アートなどについて執筆、編集、プロデュース多数。インバウンド・コンサルタント。日本旅行作家協会会員。

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